2020年10月より信濃毎日新聞 朝刊 東信版にて信州おやこさんぽメンバーの上田市在住の有志による「上田おやこさんぽ」がはじまりました。
週に1回、子どもの成長や日々の暮らしで見つけたこと、「みんなはどう思っている?」という思いなどをお届けします。
こちらの記事では掲載した本文、紙面には書ききれなかった言葉や思いも合わせて綴ります。
お母さんだし お父さんでも
あるとき息子がだしぬけに「ママはお父さんなの?」と尋ねてきました。それでなんとなく救われた思いで「そうだ。私はお母さんだしお父さんでいいんだ。ただの肩書なんだから」と気づいたんです。
それ以来、息子はたまに何の脈絡もなく私のことを「パパ」とか「お父さん」と呼んで、私は「はぁい?」とちょっと太い声で答えます。ただそれだけのやりとりだけれど、私という存在にOKをもらえたという実感で胸のあたりが温かくなるのです。
ただひとつ、目下の悩みは、あと1~2年もしたら、息子が愛してやまない温泉の大浴場に一緒に入れなくなること。温泉同好会の情報求む!誰か、息子をお風呂に連れてって。(2020年11月28日 信濃毎日新聞 朝刊 東信版掲載)
平成27年国勢調査によれば、日本における親と子どもからなる家族の世帯数は約19,000世帯で、このうちひとり親と子どもからなる世帯は24.9%にあたる約4,700世帯なのだそうです。
意外に多いな、と思いませんか? または、周りを見ても「たしかに4人にひとりくらいはいるなぁ」と実感できる数字でしょうか。
ひとり親、けっこう引け目を感じています
そうは言ってもやはり、ひとり親はマイノリティだなぁと思うことが多々ある私です。
キャンプ場やホテルのファミリー宿泊プランで「大人2人+子ども」が最小単位だったり、「あれ?今日は旦那さんはいらっしゃらないの?」と聞かれ、「ひとり親なので」と言うと「ごめんなさい」と謝られたり。
ひとり親であることは、謝られるようなことなのか…。
そうではないと分かっていつつも、「あぁ、普通と考えられる家族の形を持っていない私たちはマイノリティなのだ」という思いは、じわじわと自己肯定感を下げるものです。
ことに、離婚を理由としたひとり親には「結婚に失敗した」「子どもから片親を離してしまった」という自責感もプラスされたりもしますから、メンタルのいろいろが下がりに下がっている日なんかには、某動物ファミリー人形の「家族のかたち」はお父さんお母さん子どもセットがデフォルトなのだと気づいただけでも、「この胸のモヤモヤ、どうしてくれようか」となるものです。
実際に、心理学や看護学、社会福祉学などの分野の研究では、ひとり親の自己肯定感の低さが明らかになっています。
母役も父役もこなすひとり親はえらい
清水(2015)の論文によれば、子どもの育ちに関する悩みが少ないほうが母子家庭の母親の自己肯定感が高いことを明らかにしています。
子どもが健やかに成長してくれることが、ひとり親のメンタルに大きなプラスになるということが言えそうです。
私も、息子の言葉によって勇気づけられました。
その家族の多様性に対する視点と柔軟な考え方に、「こんな捉え方もできるんだ!」と息子の成長を感じました。
息子に言われるまでは考えもしなかったけれど、確かに母である私の中にも父性は存在していて、体も態度もわりとデカめで、まぁ行動力も冒険心も高めな私はむしろ、男性ホルモンが多い方かもしれない…、これはもはや「お父さん」でいいのではないか、などと思ったりしています。
親のメンタルが下がったときに、気づきをくれて助けてくれるのは、いつも子どもなのかもしれません。
あんなこともこんなことも、できるようになった。こんな考え方ができる子なんだ。そしてこんなかわいい子をひとりで育てている私、すごくない!?
そんなふうに考えて、自分を褒めてあげていいと思うんです。
ひとり親の同志たちよ、自信を無くすことなかれ。あなたのお子さんは日々めざましく成長していますよ。
そして来たるべき思春期・反抗期に「なんで普通の家庭に産んでくれなかったんだ!」と言われるのに備えるのです。
ここにはまた別の、ひとり親サバイバルスキルが必要になるのでしょう。それは私もおいおい学んでいくことにします。
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記事を書いた人
上田市出身・在住。ニュージーランド、スイス、カナダで旅を撮影する映像会社に勤務。信州の自然の中で遊ぶのが大好きで、
とにかく子どもと冒険したくて動き回っている一児の母。モットーは "Expand the sense of wonder !
Kana