2020年10月より信濃毎日新聞 朝刊 東信版にて信州おやこさんぽメンバーの上田市在住の有志による「上田おやこさんぽ」がはじまりました。
週に1回、子どもの成長や日々の暮らしで見つけたこと、「みんなはどう思っている?」という思いなどをお届けします。
こちらの記事では掲載した本文、紙面には書ききれなかった言葉や思いも合わせて綴ります。
日々のワンダー覚えていて
私には、嵐の海岸に息子を連れ出すことは難しいけれど、上田には山がある。山があるから川がある。近所の公園や小道の脇でさえも、たくさんのワンダーを発見できます。
子どもの感性や好奇心には学ぶことが多いです。1日の終わりの空に私とは違う色を見いだしたり、湿った落ち葉の匂いに、その下に隠れているだろう虫の存在をかぎ取ったり、花の可憐さに感嘆の声を上げたり。
息子よ。どうかその生の感動を覚えていて。外に開かれた感受性を失わないで。それはあなた自身の生命を愛することにつながると思うから。(2020年10月20日 信濃毎日新聞 朝刊 東信版掲載)
あとがき
ニュージーランド、スイス、カナダでビデオグラファーをしていた私。
いずれの国でも職場は世界自然遺産のなかでした。
氷河が悠久の時をこえて削り出したフィヨルドや、「死の壁」とも呼ばれ多くの登山家の悲劇があった岩山、5億年以上前の地球の記憶を今もその懐にあたためている原生林…そんななかにあって、地球の歴史の壮大さや人間の小ささを思考せずにはいられませんでした。
想像を絶するほど長い時間の経過に思いをはせ、生き物としての地球を感じ、畏敬の念をおぼえ、その台地の上で生かされていることに感謝しました。
レイチェル・カーソンの「センス・オブ・ワンダー」に出会ったのは帰国後のこと。
自分の感覚を研ぎ澄ますことや心を動かすことを求めていた私は、冒頭の一文を読んだだけで魅了され、その情景に入りこみ、荒々しい海辺の岩壁に立ち顔に当たる雨の強さを感じていました。
「センス・オブ・ワンダー」は誰にでも生まれたときから備わっているものだと思います。
子どもを見ていると、何に対してもありのままの自分で出会い、新鮮に驚き、取り入れているさまがわかりますよね。
ですが大人になると、日常の忙しさにかまけてその感覚が失われがち。
海外で氷河を見たり原生林に足を踏み入れたりといった強烈な経験をしないと、呼びもどすことができなくなってしまいます。
この世界で生きていることの奇跡、ちっぽけだけれど確かに存在している自分の命、そのかけがえなさよりも、明日しなければならない仕事や、昼間うまくいかなかった会話のことばかり考えてしまう。
あなたは生きているだけで素晴らしい。
私はそう息子に伝えたいのです。
私があのとき地球の歴史を感じ、自分自身の命の輝きを感じたように、息子にも「僕は生きているだけで奇跡」と思ってもらいたいのです。
そう、あなたも、あなたのお子さんも、生きているだけで奇跡なのです。
ちょこっと「センス・オブ・ワンダー」のすすめ
身近で「センス・オブ・ワンダー」が養えるちょっとした方法をご紹介します。
見る・聞く・嗅ぐ・触れる・味わう五感をはたらかせること、時間の流れを思うことがポイントです。
ストレスで感情がたかぶっているときに、ちょっと落ち着いてやってみるのもおすすめ。
・傘を差さずに雨の中を歩いてみよう
・朝日・夕日を時間をかけて眺めてみよう
・目を閉じて、聞こえるものだけに集中してみよう
・春・夏・秋・冬、朝・昼・夜、晴れ・曇り…いろんな「とき」の匂いを感じてみよう
・これ以上ないくらい時間をかけて味わってものを食べてみよう
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記事を書いた人
上田市出身・在住。ニュージーランド、スイス、カナダで旅を撮影する映像会社に勤務。信州の自然の中で遊ぶのが大好きで、
とにかく子どもと冒険したくて動き回っている一児の母。モットーは "Expand the sense of wonder !
Kana