『天才だー!』
『これはすごいなぁ!』
「子どもは天才講座」の講師の山崎英樹先生は、いつもこうして子どもたちを褒めてくれます。
子どもが遊びに熱中し、何かつくり上げたとき、親の私はこうやってすべてを認めて褒めてあげられていない…。タンスに貼られたシールに怒り、床に裏うつりした油性マジックに泣き、壁紙について取れないクレヨンはしょうがないので何かで隠す…。本当は褒めて褒めて、自由に絵を描かせたり工作をさせたりしたいのに、ブレーキをかけざるをえないのは、みなさんも同じではないでしょうか。
子どもに思いっきり創作活動をさせられる環境、サントミューゼに、あります。
サントミューゼ 連続講座「子どもは天才講座2019」 基本情報
場所 | サントミューゼ 上田市立美術館 子どもアトリエ 上田市天神3-15-15 |
電話番号 | 0268-27-2300 |
日程 | 月1回 土曜日 クラス① 4・6・8・10・12・2月 クラス② 5・7・9・11・1・3月 |
時間 | 10:00~11:30 |
対象 | 2歳以上の未就学児とその保護者 各クラス20組 |
期間 | 1年間 隔月開講で全6回 |
参加費 | 年間2,000円(材料費含む) |
申し込み | ウェブサイトをチェック 募集期間内にサントミューゼお問い合わせフォームから、または申し込み用紙で |
メールアドレス | artmuseum@city.ueda.nagano.jp |
ホームページ | 子どもアトリエであそぼう! |
SNS |
「子どもは天才講座」ってどんな講座?
「子どもは天才講座」は、サントミューゼ 上田市立美術館で開講されている、1年間の連続講座です。
もともとは2008年に上田創造館で始まりました。
4・6・8・10・12・2月の偶数月開講のクラス①と、5・7・9・11・1・3月の奇数月開講のクラス②に分かれています。
各クラスの参加者は親子20組で、例年4月に募集があります。人気の講座であり、応募多数の場合は抽選となります。
実は我が家も昨年度の募集には落選しており、今回、念願叶っての参加です。
スタッフは、山崎英樹先生(東信美術会参与)と、サントミューゼ 上田市立美術館 松井宏典さん(教育普及担当)ほか、子どもアトリエの方々です。
みなさん美術のプロ。子どもアトリエにはいろんな画材や道具があり、思いっきり活動ができるように、床や壁にシートや紙を貼って準備しておいてくれます。
お家だと汚されるのが心配ですから、こういった環境で子どもに創作活動をさせられる機会はなかなかありません。
2019年度のクラス①では次のようなテーマで楽しみました。
- 4月「5月の青い空に泳ぐアートで大きなこいのぼりをつくろう」
- 6月「アートな七夕飾りをつくろう」
- 8月「身近な野菜や果物をテーマにして描いたりつくったりしてみよう」
- 10月「秋の青い空の下でアートな運動会をしよう」
- 12月「身近なものを使ってアートで楽しいクリスマスケーキをつくろう」
- 2月「早春の空に上げるアートな凧にみんなで描こう」
4月「5月の青い空に泳ぐアートで大きなこいのぼりをつくろう」
大きな白い紙を切って貼って、こいのぼりの形をつくります。
こんなに大きな紙に、絵の具をふんだんに使って色をつけるのは、なかなかできません。
絵筆を初めて使った子も。絵筆が紙にふれ、やわらかくしなる感触や、色が混じり変化するさまを、じっくり味わうように手を動かしていました。
自分のこいのぼりができあがったら、大きなこいのぼりづくりに着手。なんとこのこいのぼり、全長10メートルはあろうかと思える布製のもの。
小さい子は台に乗って、はたまた長ーい柄のついた絵筆を使い、思い思いに色をのせていました。
6月「アートな七夕飾りをつくろう」
短冊用に用意されたのは、普通紙だけでなく段ボールや包装用ボール紙など、いろいろな素材。そして長くつなげた不織布。
前回参加して講座の雰囲気がわかった子どもたちの活動の自由度はアップ!
ここでは好きなことができるんだ、と思い思いに楽しみました。
自分の手に絵の具を塗って、手形をペタペタ。こんなにスケールの大きな七夕飾りをつくる機会はなかなかないですね。
8月「身近な野菜や果物をテーマにして描いたりつくったりしてみよう」
アトリエの机の上には事前に準備されたいろいろな野菜や果物。
お家から、描きたい果物を持ってきた子も。よく観察して描きます。
粘土でそっくりにつくることもできるかな?どれも身近な野菜で、料理され食卓に並んでからの姿を見慣れているものばかりですが、皮を一枚ずつはいでみたり、絵の具を混ぜて似た色をつくってみたり、子どもは細かいところもよく見ていますね。
10月「秋の青い空の下でアートな運動会をしよう」
10月はこれまでの創作活動とは一転、アトリエを飛び出しての運動会です。
新聞紙を丸めてつくった玉を使ったサッカーリレーと玉入れ、大きな粘着ボードにいろいろな形・素材の紙片を貼っていくコンポジションです。
今までは個人作業を熱中して行う活動が多かったところですが、運動会では体を動かしてみんなでつなぐ・共同作業することを楽しみ、大盛り上がりでした。
12月「身近なものを使ってアートで楽しいクリスマスケーキをつくろう」
12月のアトリエは、とても華やかな雰囲気のケーキがたくさん生まれました。
この回は、お家の方も子どもの思うようなケーキをつくり上げるために試行錯誤。
お家の方が大きな円筒をつくり、子どもがデコレーションするなど、話し合いながら素敵なケーキをつくっていました。
デコレーション用の木の実や葉っぱは山崎先生のお宅のお庭から持ってきていただいたものも多いとのこと。身近にあるもので、こんなにおいしそうなケーキができました。
2月 「早春の空に上げるアートな凧にみんなで描こう」
不織布と竹ひごを使って、イチから自分が思う通りの凧をつくります。
サントミューゼには大きな芝生の庭があるので、さっそく作った凧を持って走る子どもたち。こうした遊べるものづくり活動のあとは、なかなかお家に帰るのが名残惜しいですね。
今回が最終回となった講座。
さいごに修了式があり、ひとりひとり山崎先生から修了証をいただきました。
大切にしているのは、子どもたちの自由な感性
『子どもは描きたいし作りたい。用意しておいてあげれば、自由にやりますよ』と山崎先生。
『小学校に入学する前のこの年代の子どもたちの自由な感性を育てることは、豊かに生きていくための土台・土壌をつくることだと考えています。ですから「子どもは天才講座」で大切にしているのは、子どもたちの思う通りにやらせること。大人がやってあげたり、教えたりするのは最低限にします。』
事実、子どもの自由な発想は大人が思いもしない素晴らしいものをつくりあげます。
初めて手に取る道具でも、自分なりのやり方で使いますし、大人にはできない色使いや描写のしかたには驚かされます。
ご自身も創作活動を行っている山崎先生は、子どもから教えられることが多いと言います。
子どもは毎回、講座でつくった自分の作品を、満足げに家族に見せていました。
思う通りに活動できる・自由に表現できるから、子ども自身も満たされるのでしょう。こうやって、生きていくための土台・土壌がつくられていくんだなぁと実感できます。
のびのびと制約なく創作活動をさせてあげられる機会は、親にとっても貴重なものです。
参加した親御さんからは『こういった機会はなかなかないので、ありがたかった』『子どもの成長が見え、新たな発見ができた』といった感想をいただけました。
文化芸術を通した育成を大切にしている上田市で天才君・天才ちゃんをのびのび遊ばせよう
『上田市はすばらしい。こんなにたくさんの天才君・天才ちゃんたちが育っている』。
講師の山崎英樹先生は言います。
上田市、実は文化芸術を通した育成をたいへん大事にしている地域なんです。
古くは大正時代、お手本どおりに描くのでなく、自由な発想で描くことを教育に取り入れようと「児童自由画教育運動」を提唱した山本鼎や、教員を対象とした彫刻の講習会で講師をつとめた石井鶴三など、美術教育のトップランナーが上田市で活躍していました。
平成28年度からは「第二次上田市文化芸術振興に関する基本構想」のもと、市民が文化芸術に親しむなかで、生きる喜びを見出したり、創造性や表現力、共感や尊重の心をはぐくんだりすることを目指しています。
サントミューゼでの活動はその核となるものであり、劇場と美術館の複合施設として、様々な取り組みを行っています。令和元年度には、アーティストが学校を訪れ芸術を身近に感じる機会を提供する「芸術家ふれあい事業」が評価を受け、一般財団法人地域創造の「地域創造大賞(総務大臣賞)」を受賞しました。
サントミューゼ 上田市立美術館の子どもアトリエでは「子どもは天才講座」だけでなく、小学生を対象とした連続講座「アソビジュツ」や、自由に描いたり遊んだりできる「えのぐであそぼう」「アトリエであそぼう」などの週末イベントも随時開催されています。申し込み不要のイベントもたくさんありますので、気軽に足を運んでみてくださいね。
子どもの自由な感性を大切にはぐくむマインドが脈打っているまち、上田市。
「子どもは天才講座」や子どもアトリエの活動は、天才君・天才ちゃんたちを待っています。
上田市出身・在住。ニュージーランド、スイス、カナダで旅を撮影する映像会社に勤務。信州の自然の中で遊ぶのが大好きで、
とにかく子どもと冒険したくて動き回っている一児の母。モットーは “Expand the sense of wonder !”