2021年6月3日(木)上田市技術センターにて、信州おやこさんぽ主催「ライティング講座①」を開催しました。全4回の講座の第1回目となります。
5月22日の編集講座に続いてのスキルアップ講座となるライティング編です。(前回の編集講座のレポートはこちらをご覧ください。)
講師は2019年のおやこさんぽ主催のライティング講座でも講師を務めていただいた信濃毎日新聞社デジタル編集部デスク所属の植田典子先生。
ライティング講座では実践を通して取材までの準備や心構えからライティングまでのスキルアップを目指します。
受講者の方には「上田お出かけハンドブック」に掲載させていただくお店に直接取材を行っていただくため、文章をより魅力的に伝えるためには何が必要なのかを掘り下げていきます。
7名の方(1名は欠席)にご参加頂きましたが、今回は上田市内からの参加者がほとんどでした。現在お仕事に就ているけど育休中の受講者さんは、育休明けまでにスキルアップに挑みたい!との意気込みも。普段ライティングを身近にしていらっしゃる方も多く見られました。
様々な立場の方が集まることで、活発な意見交換が行われるのではとワクワクします。
仕事としてのライティングとは
ライティングを生業とするライターという職業にはどうやったら就けるのでしょうか?言ってしまえば「ライター」は名刺を作り、名乗ったらその時から「ライター」になれる…!そうです。
ただしそこから『仕事』につなげていくには信頼と使命が大切になってきます。
スキルや経験ももちろん重要な要素ですが、信頼がなければ次に仕事をつなげることができません。使命を持って伝えること(フェイクやあいまいな情報を発信しないこと)が新たな信頼につながります。
文章を書くだけではなく、実際に自分で取材や調査のために現地に赴くことも少なくありません。「当事者」や「生(リアル)」に接する機会をしっかり記録し、正確な情報を発信していくことが必要です。
正確に情報発信していく上で、公開前に確認しておくべきこと
- 情報の出どころをきちんとメモしておく、記録しておく
- 誰が言ったか、どこから得た情報かを明確にしておく
- ネットから、SNSからは情報ソースとしては不十分
- 情報を収集したら、それが真実かどうかの確認も怠らない
- ウイキペディアや個人ブログがどんなに優れていても最終確認には利用しない
- 記者ハンドブックや辞書(デジタルでも)、広告の教科書の年表などゆらぎのないソースを活用する など
自分の経験ベースで個人ブログやSNS発信するのであれば感想や経験を書けばよいが、新聞や本などを発行する場合はその先の読者も意識して信頼性について大事してほしいとのお話でした。
いざ取材へ!でも何をすればいいの?
例えば、これから取材へ行くとします。ただ、いきなり取材先で何を聞いていいのかわからない…と思う人が大半でしょう。
そこで取材の際に持っておきたいのが、誰の目線で取材をするのかということです。
実際の新聞記事を例題に考えてみよう
視点を養うために信毎に実際に載ったお店紹介記事を読み、「子育て中のママやパパ」目線に立った時、なぜ行きたいと思うのか、もっと知りたい情報は何か?など気が付いた部分を書き出すワークを行いました。
例題となった記事に登場したのは小諸市にオープンしたばかりのカフェ、彩本堂さん。受賞歴のあるコーヒーのスペシャリストが提供してくれるサイホンコーヒー。古民家を改装した店舗に盆栽の販売も行うこだわりの感じられるお店です。
記事を読んでくれる子育て世代の方たちにも行きたいと思ってもらえる魅力はなんだろう?また行きたいと思ってもらえたとしたら他に必要な情報はなんだろう?とリストアップ。さらに出し合った内容についてグループでディスカッションを行います。
ディスカッションの成果
- コーヒー以外のメニューについて
- 提供スピード
- テイクアウト
- ベビーカー入店について
- 盆栽の価格帯(子連れだと壊しちゃいそう…)
- 定休日
- 持ち込みOKなのか?
- そもそも子連れOKなのか?
- 椅子、おむつ替えのスペースはあるか畳の部屋はあるのか? など
魅力を感じる情報以外にも、不安に思っている内容についても上がってきたのがいかにも子育て世代の目線だなと感じる意見が多数。特に盆栽の値段、購入ではなく子供が壊してしまうのではないか心配…については子持ちのお母さんならではの意見だなと感じます。
取材させていただく店舗さんは営業中に対応してくださることがほとんどなので、取材の前にお店の基本情報、インタビューしたいことなどを事前に準備しておくことはとても大事です。このように自分ならではの視点で質問したいことや確認したいことを洗い出しておき、取材当日までにまとめておきましょう。
記事を実際に書いてみよう
次に「上田お出かけハンドブック」に掲載することを想定しながら彩本堂さんの新聞記事から必要情報を抜粋。お店の魅力が一言で伝わるような見出し(キャッチコピー)と、自分が記事を起こすならどんなことを伝えたいか120字程度に書き出すワークを行いました。
ライターの立ち位置
ライターやメディアはお店と読者の中間に位置する存在です。お店側は発信したい情報はたくさんあることが多いですが、中間に立つライターは読む人が欲しい情報を引き出すための取材や質問をすることが重要です。また、記事が書き上がった後にお店側が「こんなはずじゃなかった」とならないように、事前に取材の方向性や視点を共有しておくこともとても大切です。
編集講座でもお話がありましたが、できるだけたくさんの情報を集めてライティング時に情報を取捨選択するほうがより濃い記事が書けるとのことでした。少ない情報から話を広げるのは難しいので集める情報は多すぎるくらいが望ましいそうです。
情報を集めるために、取材対象をよく「みる」様にしましょう。そこで「良い」「おいしい」「楽しい」と感じたことは感情的な言葉だけではなく、どうしてそう感じたのか理由を言葉にしておきましょう。イメージしやすいエピソードもあると読者にグッと伝わる記事が書けるようになります。
即興ディスカッションワーク
最後に、上田市に引っ越してきたばかりの女性に伝えたいことを想定してディスカッションする時間も。上田の魅力やアドバイスを洗い出し、考え、表現する練習です。さらにそれを発表した人に対しての質問も加えることで質問力の学びにも。
移住者の参加者も多かったので、自分のリアルな経験と重ね合わさることでグループでの会話が盛り上がっていました。
次回、第二回目のライティング講座は7月1日(木)。それまでに今回の受講生の方には上田市街地の指定飲食店に取材に行っていただきます。
引き続き午後からは撮影講座になります。
記事を書いた人
松本市在住。デザイナーをしながら2児の子育て中。基本的にインドア派でゲーム・マンガがすき。美味しいものの食べ歩きもすき。いかにストレス少なく子供とお出かけを楽しむか年中模索しています。
北平恵己